姫路市議会議事録

平成21年 第4回定例会   

 

No.35 牧野圭輔議員

(登壇)
 まず初めに、このたびもこのようにこの公の場で発言させていただく機会をいただきました多くの市民の皆様方に改めて感謝を申し上げ、早速ではございますが、通告に基づき以下8項目について質問をいたします。
 質疑、質問も3日目となり

重複する点もありますが、理事の皆様方には明快で丁寧なご答弁をよろしくお願いいたします。
 まず、第1項目として職員の不祥事について。
 残念なことに、このたび再び職員の不祥事で逮捕者が出る事件が発生しました。市長は、早速に管理職を集め、また市長訓示として綱紀粛正の通達を出されたその内容には、「今の市役所は見るに耐えない惨たんたる状況である。」「子供たちに対しても恥ずかしい。」「非常に残念である。市民の皆さんに申しわけない。」と厳しい言葉を使って戒められました。
 よりよい生活の実現を願って納税している市民にとっては、毎年のように不祥事が発生している現状に、市長が憤る気持ちは理解ができる一方で、53万市民の代表であるとともに、また市民から負託されたリーダーとして、訓戒を垂れるだけでなく、今まさに職員4,000人の長として法令順守を徹底すると同時に、職員のやる気をどう喚起し、不祥事を未然に防止するのかが問われているのではないかと考えます。
 その意味において、不祥事を起こした職員へ厳罰で臨む対応は当然ではありますが、直接の現場の上司の処分にとどまり、実質の人事権を持ち労務に責任を持つ最高幹部の処分のない現在の姫路市の対応そのものに、職員の間では不満の声もあり、不祥事を再発させている要因の一つでもあるように思えます。
 先日、私は、大阪高等・地方裁判所へ裁判員制度の勉強も兼ねて行く機会があり、実際に裁判を傍聴させていただきました。その日、執行されていた数件の裁判の罪状内容は、このたびの職員の不祥事とは異なり、最近たびたびテレビや新聞等で報道され、世間を騒がせています芸能人の覚醒剤所持・使用と同様、薬物関係がほとんどで、一般市民への覚醒剤の蔓延に驚いたことと同時に、他の自治体では、これに職員がかかわった事件があったことが頭をよぎり、姫路市では大丈夫かと思ったことを覚えています。
 以上の内容を踏まえ、以下3点の質問をいたします。
 第1に、市長みずからが綱紀粛正を唱えても唱えても再発する職員の不祥事の現状について、どのように考えておられるのか。
 第2に、これまで不祥事が起こった際、その後どのように分析し、どのような具体的な再発防止策を講じてきたのか。
 第3に、たび重なる不祥事に対して市長みずからの責任と人事を担う担当局長の責任について。
 第2項目として、姫路市における地域包括支援センター運営の問題点について。
 平成184月施行の改正介護保険法に基づき、高齢者が住みなれた地域で安心してその人らしい生活を継続することができるようにするためには、介護サービスを初め、さまざまなサービスが高齢者のニーズや状態の変化に応じて切れ目なく提供される必要から、こうした高齢者の生活を支える役割を果たす総合機関として、地域包括支援センターが設置されました。
 センター業務には、大きく四つの役割があり、その第1は、予防給付・介護予防事業のケアマネジメント業務。要支援、特定高齢者の双方を対象に、ケアプランの作成、サービスの評価などを行います。
 第2は、総合相談支援業務。個々の高齢者がどのような支援が必要かを把握し、地域における適切なサービス、関係機関や制度の利用につなげるなどの支援を行います。
 第3は、権利擁護業務。高齢者の人権や財産を守る権利擁護事業や成年後見制度など、権利擁護を目的とするサービスや制度を活用しながら、高齢者のニーズに即したサービスや機関につなぎ、高齢者の虐待の防止や権利擁護を図ります。
 そして、第4として、包括的・継続的ケアマネジメント支援業務があり、地域包括支援ネットワークを活用しながら、ケアマネジャー、主治医を初め地域のさまざまな関係者が連携、協働することで、保健、医療、福祉、その他の生活支援サービスなどを含め、地域におけるさまざまな資源を活用し、途切れることなく施設・在宅を通じた地域における生活を支援します。
 そして、センターには、主任ケアマネジャー、保健師、社会福祉士が設置され、それぞれの専門性を生かしてチームで業務を実施し、事業の実効性を上げるために、さきに挙げた地域包括支援ネットワークの構築は何よりも急務であり、各保健福祉サービスセンターや警察、消防などの行政機関、病院、診療所、歯科診療所などの医療機関など、民生委員や保護司、自治会役員などの地域住民も巻き込んで、対象者を積極的に発見することも求められています。
 また、どのようなサービスを利用するべきかわからない住民に対して、そのニーズに適切に対応できるサービスにつなぐワンストップ相談窓口として、地域のよろず相談所的な役割を期待されています。
 こんな中、姫路市においても、同法に基づき、総合計画の重点事業の一つとして、地域包括支援センターの充実を掲げ、これまで長年、在宅介護支援センターが果たしてきた高齢者の総合支援窓口としての取り組みを段階的に地域包括支援センターへ移行し、人口規模、業務量、運営財源や人材確保、保健福祉圏域との整合性に配慮し、最も効果的・効率的にセンター機能が発揮できるよう考えられた結果、現在、市内を13の日常生活圏域に分割し、そのうち複数の小学校区を一つの単位として、22のブロックを設定し、1ブロックに対して1カ所、姫路市から委託を受けた法人が各保健福祉サービスセンター及びそれぞれの事業所を拠点として、サービスが提供されています。
 しかしながら、まだまだサービスの提供がスタートして日が浅いことを考慮に入れながらも、PR不足もあり、地域包括支援センターそのものが市民に認知されていないのが現状です。
 また、既に「それぞれのセンターがうまく機能していないのではないか」、「委託事業所決定の際に、特定の事業所に優遇し過ぎではないか」、「公正中立な立場は遵守されているのか」などの問題点が指摘されているのも事実です。
 去る1120日に公表された厚生労働省の調査によりますと、高齢者に対する虐待件数が平成20年度、家庭内で14,889件、前年度比12%増、介護施設内で70件、同13%増に上り、平成18年度の高齢者虐待防止法施行以後2年連続で増加したことがわかったようです。
 また、たびたび報道される高齢者が高齢者を介護せざるを得ない老老介護の結果、事件・事故に発展し、悲しい結末を迎えるケースも、現在の急速な高齢化社会の中、増加するであろうことは否定できません。
 私自身、数年前に福祉の現場の勉強のためヘルパー講習を受講し、ごくごくわずかな期間ではありますが、福祉の現場を体験した経験からも、机上の論理、きれいごとでは済まされない地域福祉の現状について、問題点の改善を強く願う立場で、以上の内容を踏まえ、地域包括支援センターの運営について、以下9点の質問をいたします。
 まず第1に、高齢者全体の実態把握をどのように取り組んでいるのか。
 第2に、高齢者虐待など問題家庭の把握をどのように取り組んでいるのか。
 第3に、認知症、知的障害、精神障害などにより、判断能力が不十分な方が身寄りのない場合、本人へかわって、成年後見制度の「市長申し立て」へつないだ実績について。
 第4に、センターがかかわった後、要介護状態になったケースについて、居宅介護支援事業所の利用状況は、公正中立な立場を遵守できているのか。今後、利用状況について情報開示はできるのか。
 第5に、在宅介護支援センターの今後の位置づけはどうなるのか。
 第6に、センターの委託事業所決定に際して、姫路市社会福祉協議会など、特定の法人へ優遇はなかったのか。
 第7に、各センターによって起きるサービスの格差はどう是正するのか。
 第8に、地域包括支援ネットワークの構築は急務でありますが、当該関係機関とは、どこまで連携の枠組みが築けているのか。
 第9に、あくまでセンター設置の責任主体は姫路市にあり、センター活動のチェック機関である地域ケア推進協議会は機能しているのか。
 第3項目として、社会福祉法人、姫路市社会福祉協議会の運営について。
 社会福祉協議会では、高齢者や障害者の在宅生活を支援するために、訪問介護や配食サービスを初めさまざまな福祉サービスを行っているほか、多様な福祉ニーズにこたえるため、地域の特性を踏まえ創意工夫を凝らした独自の事業に取り組んでいます。また、地域のボランティアと協力し、高齢者や障害者、子育て中の親子が気軽に集えるサロン活動を進めているほか、社協のボランティアセンターでは、ボランティア活動に関する相談や活動先の紹介、そして小中高校における福祉教育の支援、赤い羽根共同募金活動など、地域の福祉活動の拠点としての役割を果たしています。
 姫路市においては、昭和26年、住民の自主的な福祉団体として設立、その後、昭和41年、社会福祉法人、姫路市社会福祉協議会として設立認可を受け、校区ごとにボランティアを組織しながら、市民の参加でふれあい型の地域福祉活動を展開していくとともに、在宅で福祉ニーズを抱える人々に対して各種の福祉サービスを提供し、個々の福祉問題の解決に向けた事業を展開しています。
 現在、同法人は姫路市健康福祉局長を含む学識経験者、自治会、民生委員、地域代表などで役員構成され、事務局には長年、市役所職員OBを嘱託職員として採用し、姫路市とも密接な関係で運営されています。
 しかしながら、広く地域において公共性の高い役割を果たす一方で、介護保険制度導入以後は、福祉サービス事業を営む一法人としての一面を持つ姫路市社会福祉協議会の運営について、以上の内容を踏まえ以下2点の質問をいたします。
 第1に、平成20年度の決算を見ますと、姫路市社会福祉協議会総事業費約15億円のうち、全体の4%に当たる約6,000万円が赤い羽根共同募金からの分配金であり、その使途は姫路市共同募金委員会で分配が決定され、広く地域福祉活動へ還元されるべきでありますが、姫路市においては、姫路市社会福祉協議会運営費など、一部の事業に偏っていないか。
 第2に、姫路市社会福祉協議会が2カ月に一度、年間6度の発行している冊子「ひめじの社協」の内容について、姫路市社会福祉協議会が行っている居宅介護支援サービス事業のPRが色濃く出ていますが、「広報ひめじ」とあわせて各自治会への配布委託について、費用は発生しているのか。
 第4項目として、保健福祉サービスセンターの整備について。
 保健福祉サービスセンターは、保健と福祉の連携を図り、市民に身近な保健サービス及び福祉サービスを一元的に提供することを目的として、保健機能と高齢者福祉機能をあわせ持つ施設であり、事業としては、子育て支援、健康づくり、高齢者介護を三つの柱に、訪問指導、保健・福祉の情報提供や相談を初め、機能訓練、各種サービスの申請受け付け、乳幼児相談、健康教室の開催、介護機器の展示など、幅広く保健福祉に関するサービスを提供しています。とりわけここへ来て、先にも述べた地域包括支援センターの活動拠点としての役割をあわせ持ったことで、現在、より一層ニーズが高まっています。
 姫路市では、これまで必要に応じ見直ししながら各種施策を展開する基本として、中部第一、中部第二、東部、西部、北部、網干、広畑、飾磨、灘、安富、夢前、香寺、家島の現在13の地域ブロックを設定し、各地域ブロックごとに1カ所の保健福祉サービスセンターを順次整備してきました。現在、13ブロック中、12ブロックまでが整備済みであり、残すところ1ブロックのみとなっております。
 平成2012月末でのデータで、13ブロック中、ブロックの人口約83,000人、中でも高齢者人口約15,000人と、ブロック全体でも突出した、最も対象人口の大きな安室、安室東、高岡、高岡西、荒川、手柄、城陽校区を含む中部第二ブロックがいまだ整備されないまま残されています。この人口規模は、近隣のたつの市約82,000人をもしのぐ大きさです。
 現在は、中部第一ブロック内にある中央保健所に併設されている中央福祉サービスセンターに職員を増員し、中部第二ブロックもあわせてサービスの提供を実施しているようですが、対象人口、福祉サービスに対するニーズの高まり、また、これまで地域ブロックごとに各種施策を偏りなく実施してきたこと、さらに中央保健所が道路の規制上、また、それ自体が機能的にも非常に不便なことで、対象となる人口に対して来所者が極めて少ないことを考えると、税の公平な使用、市民サービスの向上の観点からも、未整備ブロックを残すことは問題であり、早急に整備が必要であると考えます。
 以上の内容を踏まえ、以下2点の質問をいたします。
 第1に、保健福祉サービスセンターの今後の役割と必要性について。
 第2に、(仮称)中部第二保健福祉サービスセンターの整備について。
 第5項目として、旧「休日・夜間急病センター」の有効な跡地利用について。
 旧「休日・夜間急病センター」の建物は、昭和54年医療供給の少ない夜間の急病患者へ対応するため、夜間の内科・小児科を診療科とする夜間急病センターとして、1階に姫路市夜間急病センター、2階に姫路市準看護高等専修学校を設け、姫路市西今宿三丁目76号に建設されました。
 その後、利用者の増加に伴い、施設が狭隘となったため、平成9年に新築された姫路市医師会館1階へ同センターを移転し、さらに平成15年、姫路市準看護高等専修学校を廃止して、現在は医師会子会社の姫路医師協同組合に、建物延べ床面積1,680.95平米(約500坪)のうち、一部に当たる105.3平米(約31坪)を年間1483,200円で貸し付けています。
 また、休日・夜間急病センターのカルテ保管場所、緊急災害用ベッドの保管場所としても、1階の一部を使用しているようですが、公共施設の有効利用という観点から非常に非効率な状態が続いています。
 いずれにいたしましても、建築年数が30年を超え、耐震基準となる昭和56年以前の建物であることや、現在一部雨漏りもするなど、建物の老朽化が進んでいるため、今後の利用については課題を残すところです。
 以上の内容を踏まえ、以下2点の質問をいたします。
 第1に、旧姫路市夜間急病センター跡地の有効利用について。
 第2に、市民の認知度、利便性の高さや、警察、消防、サービスセンターなどの行政機関及び医療機関も集中しているなど好立地であり、中部第二ブロック、保健福祉サービスセンターの建設用地にならないか。
 第6項目として、総合窓口サービスの改善と統廃合について。
 総合窓口サービスについて、現在、姫路市では市役所本庁を柱に、地域事務所、支所、出張所、サービスセンター及び総合センターを合わせて42カ所で、広く市民へ総合窓口サービスを提供しています。中でも支所以下の出先機関については、市民の身近な存在として最も密接にかかわり、市民の期待も大きく市民サービスの最前線として多くの業務を担っています。
 しかしながら、今日、行財政改革の大きな流れの中で、姫路市に限らず公共施設は統廃合も検討されようとしていますが、費用対効果の観点のみでなく、それぞれの支所、出張所、サービスセンターについては、設置へ至った経緯や歴史、住民感情や地域の特殊性にも十分配慮しつつ、全市的なサービスの均衡や市民の満足度を踏まえ、市民サービスが最も効率的で効果的に提供できるようにするなど、公共施設のあるもの活用の考え方もあわせて考えていく必要があることは理解できるところでもあります。
 このような中、平成15年に新たに設置された駅前市役所は、平成20年度決算で賃料、共益費合わせて年間約2,200万円の経費がかかっているものの、通勤や通学、買い物に便利な姫路駅前の山陽百貨店西館3階に、最も市民ニーズにマッチした新しい行政サービスの拠点として、1365日のうち363日、元旦と10月の第3日曜日の2日を除いて、午前10時から午後7時半まで窓口を開業し、多くの市民に喜ばれ利用していただいています。
 そして、その数は、休日も開業していることもあり、毎年増加傾向で、平成20年度には年間利用者87,792人と9万人へ届きそうな勢いで、ある意味これまでの受け身的な待ちのサービスから市民ニーズを積極的に取り入れた攻めのサービスとして、今後の行政サービスのモデル的、成功した取り組みも進められています。
 その一方で、高岡サービスセンターが併設する高岡市民センターは、地元地域の人々にとっては、なじみ深い旧高岡小学校跡地の一部を利用して、昭和584月にサービスがスタートしています。
 しかしながら、設置当初より前面道路、延長約300メートルの間が狭隘なため、一方通行の道路規制がかかった状態で、車で来所する利用者にとって非常に不便なだけでなく、初めて来所の方にとっては、案内標識もないため、近くまで来ていても施設がわかりずらいといった極めて不親切な状態が続いています。
 これまで前面道路の拡幅には、用地取得に伴う立ち退きなどの課題があることや、地域の住民からも、「不便だとは思うが、そこにあるから仕方がない」といったあきらめ感に甘え、積極的に課題解決に取り組まず放置してきた事実があるように思え、これまでの経緯を考えると、今後、前面道路の拡幅は不可能に近く、市民サービス向上のため、課題解決には移転も含めた思い切った決断も必要であると思います。
 以上の内容を踏まえ、以下3点の質問をいたします。
 第1に、今後、支所、出張所、サービスセンターの統廃合はあるのか、また、仮にあるとするならば、市民が納得できる基準があるのか。
 第2に、高岡サービスセンター機能を高岡市民センターから分離して、今宿にある商業施設「ザ・モール姫路」内へ移設し、開業日数、開業時間など、駅前市役所同様のサービスを提供できないか。
 第3に、現在、姫路市が進めている新駅前ビル構想の中に、駅前市役所移転計画はあるのか。
 第7項目として、市立美術館の運営について。
 昨今の不況を理由に、文化事業についてあれこれと注文するのは本意ではありませんが、平成20年度の決算資料を見ますと、美術品購入など経費として1億円余りが支出されています。多くの公立美術館が各自治体の財政難の中、作品収集予算の獲得もままならない中で、毎年1億円以上を費やして作品購入に当たる姫路市立美術館の突出ぶりは関係者でも有名で、姫路へ行けば買ってもらえると評判になっていると聞いています。
 バブル崩壊以降、買い手がつかぬままに名作の価格が下落し、美術品市場は長期の低迷が続いているだけに、優良な作品が安く手に入るのはありがたいことですが、問題はその効果だと思います。
 以上の内容を踏まえ、以下3点について質問いたします。
 第1に、作品購入とその集客効果について。
 ここ10年間の作品購入実績とそれら収集作品を展示するコレクション展の回数、またその鑑賞に集まった客数の推移はどうなっているのか。
 無料で見ることができるコレクションギャラリー展も開催していますが、いわば展示室へと向かう廊下部分での公開で、作品購入額1億円に見合う展示とは言えないように思いますが、どのように考えているのか。
 第2に、美術品の管理体制について。
 現在、収集作品はイーグレ地下の専用収蔵庫におさめられ、湿度や温度の管理は万全と言えますが、いざ展示となると、業者を使って美術館まで輸送し、慎重に包装を解いて展示し、展示が終わると、また同様な作業が加わります。セキュリティ上は、少しでも手間が少ないほど安全で管理しやすいのですが、現状では学芸員の皆さんも大変苦労されていると思います。
 そのような中、これら貴重な作品の出し入れは、他の美術館への貸し出しを含めると、年間で何作品になるのか。また、その確認はどのようなシステムで行われ、厳重管理されているのか。さらに、全作品の確認は、いつ、どのようにしているのか。
 第3に、美術館経営の将来見通しと具体的な計画について。
 姫路市は、現在約3,500点の作品を収集していることから、毎年200点ずつ公開しても、すべて公開し終えるには15年以上かかります。私のような素人目には、膨大なコレクションと言えますが、一体、美術館はこれらの作品を駆使し、どのように美術館を経営しているのか。また、近年多くの公立美術館が外部評価を実施し、公表しています。姫路市も外部の専門家による評価を実施すべきだと考えますが、どのように考えているのか。
 そして、最後に、8項目として、武道必修化へ向けた取り組みについて。
 平成24年度より中学校の保健体育で武道とダンスを必修化するのに備え、文部科学省では、今年度47都道府県教委で10校ずつ計470校のモデル校を想定し、約49,000万円を予算計上しています。
 その事業内容は、剣道、柔道、相撲などの武道とダンスを円滑に実施できるよう、地域の指導者や団体の協力、地域の武道場の活用を図るのが目的。実践校を指定し、指導者への謝礼金や会議費、保険料などを文部科学省が負担するというものですが、周知が足りなかったことや受け入れる側の学校の立場では、事務量増加への懸念から、4月に募集、7月に再募集をかけても、なお予算額約19,000万円を残す低調ぶりで、非常に残念な結果となっていることから、11月に再々募集をかけたようです。
 このような状況の中においても、文部科学省来年度予算の概算要求には、今年度と同額が盛り込まれていることを考えると、同省のこの取り組みへの強い意志が推察でき、現在、政府が取り組んでいます行政刷新会議の事業仕分けの対象にもなっていないようですから、武道必修化へ向けた環境整備も含めて、ぜひ積極的な対応を願う、私自身、武道にかかわる一人の市民の立場で以上の内容を踏まえ、以下の質問をいたします。
 第1に、さきに挙げたモデル事業への姫路市の取り組み及び県内自治体の取り組み状況について、モデル校は何校あるのか。
 第2に、武道必修化へ向けた姫路市の取り組みについて。
 以上で、私の第1問を終わらせていただきます。

平成20年 第3回定例会

 

No.26 牧野圭輔議員

(登壇)
 牧野圭輔でございます。昨日来の質問内容と重複する点もあろうかとは思いますが、通告に基づき以下3項目、教育行政について質問させていただきます。
 第1に、姫路の教育改革(小中一貫教育導入)について。
 「教育日本一!」大阪府の橋下知事が掲げる府政改革の一端、教育改革のスローガンであります。ことし1月の知事選に初勝利し、就任以来、弁護士、タレントとしての知名度と、その既成概念にとらわれない言動が常にマスコミにも大きく取り上げられ、話題を提供してくれています。
 知事の教育改革の手法には賛否があるものの、その内容は、いわゆるきれいごとでごまかすのではなく、二度の全国学力・学習状況調査の結果からも明らかになった大阪府の低迷している学力の現状から目をそらさないということです。そして、問題意識をしっかり持ち、教育委員会、学校現場の課題に真正面から取り組み、あらゆる手段を用いて全力で公教育を改革しようと頑張っています。私は、その熱意と強いリーダーシップに共感し、エールを送りたいと思います。
 姫路市においても、もともと教育者でもある石見市長の高い教育理念と強いリーダーシップに期待したいところです。
 さて、姫路市では、平成13年度から平成24年度までの姫路市総合計画の中でうたわれています主な姫路の教育事業として、姫路市幼稚園教育振興計画の推進、小中学校の規模・配置の適正化の検討など、さまざまな事業があります。そして、平成20年度総合計画の終盤にかかった今、新たにこれらに加え、魅力ある姫路の教育創造プログラム策定会議でも検討された小中一貫教育の導入が今作成中の新総合計画の中にも盛り込まれ、にわかに注目されています。
 それでは、今なぜ小中一貫教育なのでしょうか。市教委の説明では、これまで取り組んできた現行の学校制度、小・中「6・3制」が現在の子供たちの心身の発育の加速化とうまくかみ合っていないのではないか。小中教職員の意識がうまくつながっていないのではないかなどの教育現場の課題に対する取り組みの必要性から、義務教育9年間の指導内容と指導方法に一貫性を持たせることで、これらの課題へ対応していくためであると説明を受けております。
 また、小中一貫教育導入へいち早く対応し、既に全国で研究開発学校、構造改革特区など100程度の取り組みが進んでおり、そこではおおむねさきに述べた課題解決への成果が得られているとの報告も受けております。
 私は、昨年度、文教委員会委員として先進自治体である鹿児島県薩摩川内市と佐賀県佐賀市、そして今年度は所属する創夢会会派内で構成する「姫路の教育を考える会」の一員として広島県府中市と姫路市のモデル自治体でもある広島県呉市へ視察に行ってまいりました。
 また、昨年の8月には全国から3,000人余りの自治体職員、教育関係者などが集まった「小中一貫教育全国サミット2007in京都」へも参加してきました。そこでは、先進自治体の取り組みについて詳しく説明を受け、全国的な教育改革の流れを肌で感じるいい機会を与えていただきました。
 しかしながら、私自身、小中一貫教育の趣旨については理解ができるものの、余りにも導入後の効果を前面に出され、この取り組みの課題についての説明がほとんどないことに偏った正確な情報とは言えないのではないかと、この取り組みへ不安を覚えました。確かに硬直した閉塞感の漂う教育現場へ新しい空気を引き込み、活性化することで小・中教職員の意識を改革する効果はあると思いますし、大いに期待しています。
 しかし、小中一貫教育がまるで魔法のつえのごとく、万能で、あらゆる課題へ対応できるかのような評価、そしてそれに裏づけされた市民へのPRは、まだまだ先進自治体ですら5年程度のデータしかないことを考えると、拙速であるかのように思います。
 正直、どの自治体も新たな取り組みを始めたばかりで失敗が許されず、推進する立場からできるだけ短期間に目に見える効果を得ようと、想像以上に特別な力を入れ、取り組みされているようですから、現時点での正当な評価ができるのかは疑問です。
 現に意地の悪い質問かもしれませんが、呉市の担当者へ、「さまざまな効果の要因は小中一貫教育の効果なのか、それとも今特別に取り組みに力を入れているからなのか。」の問いかけに、残念ながら自信を持った回答は得られませんでした。
 一方、改革のチャンスの目玉は小中一貫、学校の統廃合と小中一貫教育をセットにする自治体がふえているのも事実です。その背景には、自治体の合併による財政効率化があります。今、全国の各自治体を悩ませている財政難の問題、今後潤沢な税収が望める自治体は少なく、また少子化による児童生徒の減少に歯どめがきかないこと、今後学校を維持運営をするためには、人件費は言うに及ばず校舎や体育館の耐震化など莫大な公費が必要であることを考えると、統廃合もやむなしということなのでしょうか。
 読売新聞社の全国調査では、現在、全市区町村の自治体が計画しているとおり、小中学校の再編が進めば、公立の小・中学校が5年後には少なくとも1,117校減るとの見通しも出ているようです。
 しかし、通学距離の問題や一層の過疎化への懸念から地元住民の反発は根強く、自治体の中には計画の凍結や見直しを迫られ、必ずしも計画どおりに進んでいるわけではないようです。
 そんな中、文部科学省が統廃合を促進する動きもあることから、今後追い風を得た各自治体がさらにこの動きを加速する可能性があるはずです。
 そこで、統廃合への反発をそらす切り札として新しい取り組み、小中一貫教育を利用することで教育効果を前面に出し、理解を得、事業を進めるのとあわせて統廃合を実施する方法で、反対意見を和らげる効果を期待しているのではとの取り組みのようにも思います。
 このような全国的な流れの中で、姫路市の教育改革は、小中一貫教育導入を選択し、大きくかじを切りました。来年度には白鷺小中学校区を推進モデル校に指定し、新たにスタートします。
 しかし、新たな船出を前にして問題点がないわけではありません。その背景には、校区住民の苦渋の選択と、城巽小学校の統廃合に対する市教委の不十分な対応に、校区住民の間には不信感が残っているのも事実です。
 また、もともと児童生徒の数が少なく、各学年四、五十人の白鷺小中学校区では、このたび小1から中3まで全学年3クラス程度の児童生徒を確保し、学校運営をしたいとの方針から、公に各学年定員40名を設定して、校区外から入学・転入学の児童生徒を募集しています。
 この結果、少なくとも校区外児童生徒の居住する小中学校区は、来年度の学級編成へ影響が出るのは避けられません。あわせてこれらの児童生徒の募集要綱、選考方法について問題点が指摘されているのも事実です。
 このように既に全市を巻き込んだ、これだけ大きな事業が進んでいるにもかかわらず、全市的にはPTA役員など部分的な関係者への説明と一方通行の姫路市ホームページ、パンフレットの配布で終始し、各小学校区単位での説明会すら実施していない現状では、行政として十分な説明を果たしているとは言えません。
 現に一部の教育熱心な市民、保護者だけが関心を示し、対応されているようで、私の周辺では残念ながら事業の内容を正確に把握し、理解している人は皆無です。これでは知らんのは、知らん者が悪いと言わんばかりの対応です。
 また、平成21年度より順次全市へ取り組みを進めるとの方針で、現在、平成22年度へ向け、白鷺に続き豊富・四郷、両小中学校区が名乗りを上げているようですが、導入予定校になるには、それぞれの小中学校区に判断がゆだねられ、小中一貫教育導入にかかわる共通理解が図られたところから順次取り組んでいくといった、余りにも無責任で責任転嫁ともとれる進め方は問題であります。
 市教委は汗をかかず、「地域で話をまとめてきたところから実施してやる。」これでは、市教委の方針で導入するはずの小中一貫教育が、結果としてそれを選択した小中学校区に責任をすりかえた形になってしまいます。
 私は、昨年のちょうどこの時期、姫路市幼稚園教育振興計画実施計画を打ち出し、どれだけ反発があろうとも方針を曲げない、順次計画どおりに進める市教委の強気な意気込みと方針が記憶に新しいだけに、このたびの導入完了目標年次すら示さない、あなた任せの取り組み方法に疑問を感じています。
 どんないい取り組みにおいても、すべての人に喜んでもらえ、100点満点、バラ色とはいかないわけです。市教委が自信を持って小中一貫教育導入を推進する立場なのであれば、仮に批判があろうとも、事業の教育効果、課題について積極的に正確な情報を公開し、丁寧に説明することで理解を得る努力が必要です。
 私自身、小・中学生の子を持つ現役保護者として、また姫路の教育改革が成功することを願う一市民の立場で、以上の内容を踏まえ、以下の質問をいたします。
 1.小中一貫教育導入に対する市長、教育長の不退転の決意について。
 2.白鷺小・中学校区、校区外からの入学・転入学の全学年の申し込み状況について、各小中学校区単位での数値をお示しください。
 3.計画的に小学校区単位での説明会の実施予定はあるのか。
 4.なぜ導入完了の目標年次を示せないのか。
 5.白鷺小・中学校は、推進モデル校で特別な力を入れて取り組まれ、学力面の成果が他校に比べて突出する可能性があると思われるが、義務教育の中で教育の平等性は欠くことはないのか。
 6.推進モデル校と導入校では、教員の加配など予算的な取り組みや授業のカリキュラムに格差はあるのか。
 7.新たな「推進モデル校」指定はあるのか。
 8.今後導入に伴う小中学校の統廃合計画はあるのか。
 第2に、ゼロ・トレランス方式の導入について。
 トレランスとは、寛容という意味で、ゼロ・トレランスとは寛容がゼロ、だめなものはだめと教える教育のことです。生徒の自主性に任せる放任主義とは対角をなし、細部にまで罰則を定め、違反をした場合は速やかに例外なく処分を行う。1960年代から深刻な学力低下と荒廃に陥っていたアメリカの高校は、レーガン大統領を初めとする80年代以降の歴代大統領がゼロ・トレランスの教育を取り入れました。そして、94年、連邦議会が各州にこの方式の法案化を義務づけ、クリントン大統領が全米に導入を呼びかけたことで広まり、見事に秩序を回復し、再建したと聞いております。
 そして今、日本においても文部科学省でプロジェクトチームを組み、ゼロ・トレランス方式の調査、研究などを開始し、教育現場への導入を検討していると聞いております。
 私は、このたび会派内「姫路の教育を考える会」で、ゼロ・トレランスを日本で初めて導入され、規範意識を育てる教育を実践されている岡山学芸館高校を訪問し、森校長の日本の教育再生への熱意を受けとめてまいりました。
 ただ、問題行動のある生徒をむやみに切り捨てるのではなく、すべての教職員の共通理解で生徒指導の方針がぶれることなく、細部にまでとことん生徒にかかわっていく教育、その内容は難しい話でも特別なことでもありません。「だめなものはだめ、やらなければならないことは理屈なしにやる。」といった当たり前の取り組みなのです。
 今、姫路市においても例外なく社会全体の教育力の低下、父性、母性の欠落による家庭教育の低下、保護者の価値観の混乱など、さまざまな要因で学校運営、生徒指導に課題を抱える学校が少なくないのは事実です。モンスターペアレントなどと呼ばれる理不尽な要求をする保護者や、問題行動を起こす生徒対応に追われる現場の教職員にもっと毅然とした対応がとれる教育環境づくりが必要です。
 以前、中学校で問題行動のある生徒1人に対して、大の大人が5人、6人がかりで、はれものにさわるように対応している姿を見たことがあります。また、明らかに服装に問題がある生徒を学校まで送り迎えしている保護者があり、注意しても改めない。非常に情けなく、残念で仕方がありませんでした。しかし、これが現実に今の教育現場の姿なのです。
 権利を振りかざせば、これらの生徒にも確かに教育を受ける権利はあるのでしょう。しかし、同時にその陰で静かにまじめに授業を受けたい生徒の教育を受ける権利を奪っていることにもなります。
 私は、姫路の教育現場で日々頑張っておられる教職員は、それぞれにすばらしい能力を持った精鋭ぞろいだと信じて疑いません。仮に教育に熱意のない者がその中にいるとしたら、そんな教職員は現場を去ってもらいたいし、教壇に立つ資格はないと思います。
 個々の教職員が持てる力を十分発揮できるよう、姫路の公教育再生のためにも、姫路市全体の取り組みとして、理屈ではない、毅然とした態度で、だめなものはだめと言える生徒指導に、ぶれない学校づくりが急務と考えます。姫路の教育改革は、この環境づくりが最優先課題なのかもしれません。
 以上の内容を踏まえ、以下の質問をいたします。
 1.姫路の公教育再生の柱として、ゼロ・トレランス方式を姫路の全小中高等学校で導入できないか。
 第3に、武道場の整備について。
 北京オリンピックが閉幕し、2週間以上が過ぎた今日でも、まだまだ私の心の中には感動の余韻が残り、脳裏には日本人選手たちの活躍が焼きついています。議員各位、また市長を初め理事者の皆様方も、それぞれに印象に残った場面を思い出されるのではないでしょうか。期待どおりの活躍ができ、金メダルの栄光をつかんだ選手、また余りの期待の重圧に力を発揮できず涙をのんだ選手、もう既に次回ロンドン大会へ気持ちが切りかわっている選手、一人一人にもそれぞれのオリンピックだったはずです。
 とりわけ私が印象に残ったのは、日本のお家芸の一つである女子柔道です。オリンピック2連覇を果たした谷本選手の一本柔道、常に相手を一本で倒す気持ちを忘れずに戦い抜きました。
 そして、最も心を打たれたのは、最重量級決勝戦での塚田選手の戦いでした。残り時間11秒での逆転負け、それはポイントをリードしていながら、時間稼ぎで逃げて下がらず、最後の最後まで前に出る攻めの柔道をした結果でした。これについては、さまざまな評価があるのかもしれませんが、私はあえて「正々堂々と最後の最後まで戦う」「ひきょうなことはしない」、この日本の精神柔道を通した塚田選手に金メダルを送りたいと思います。どんな手段を用いても勝てばいいといった風潮が蔓延する中、日本の子供たちへすばらしいお手本を身をもって示してくれました。
 そして、今、文部科学省は新学習指導要領の中に「伝統と文化の尊重」を盛り込み、平成24年度には中学校の体育の授業で武道を必修化する方針です。剣道、柔道、相撲、地域の実情に応じて、なぎなたや弓道を取り入れるところもあるようです。
 また、新学習指導要領への移行措置期間中に必修化へ向け武道場の整備を進めていく方針で、来年度予算の概算要求の中で約200校の武道場建設費として約50億円を、また関連で、地域で指定校を定め、指導者を招くなどの事業に約10億円を求めると聞いております。子供たちへの教育効果の上にも大いに期待するところです。
 姫路市において、中学校の武道場は、昭和50年代より順次整備され、ほぼ全校で整備が完了し、昨年5月の時点での全国中学校の整備率47%を大きく上回っております。
 しかし、このたびの合併もあり、いまだ整備がおくれている中学校があるようです。家島、置塩を初め数校あるようですが、必修化へ向け早急に整備が必要と考えます。
 以上の内容を踏まえ、以下の質問をいたします。
 1.未整備校の名称と今後の整備計画について。
 2.必修化へ向けた指導教員の体制について。
 以上で、私の第1問を終わります。

平成19年 第2回定例会

 

No.78 牧野圭輔議員

(登壇)
 新人の牧野でございます。私は約4年前、「社会の中で本当に苦しんでおられる方々の代弁者となりたい」そんな決意で市政に挑戦し、このたび2度目にして議会へ送っていただきました。今後は子育て現役保護者の代表としても、姫路の教育・福祉に関する課題に全力で取り組んでいきたいと思っております。
 また、初めて本議会での質問をさせていただくということ、本定例会の最終質問者であるということで、緊張しておりますが、多くの先輩議員の方々、市長を初め理事者の皆様方には、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、昨日来の質問内容と重複する点もあろうかとは存じますが、通告に基づきまして、以下4項目について質問申し上げますので、ご答弁のほどよろしくお願いいたします。
 まず第1項目として、姫路市幼稚園教育振興計画の実施についてであります。
 昨年度、国会において「認定こども園」を導入する法案が成立いたしました。いわゆる幼稚園と保育所を統合し「総合施設」化を進める法律であります。「保育所でも教育を受けさせたい」、「幼稚園でも長く預かって欲しい」という利用者ニーズにこたえた形ではありますが、これについて歓迎の声が上がる一方で、認可基準の切り下げによる保育環境の悪化を懸念し、「認定こども園」自体を疑問視する声があるのも事実です。本市においては平成20年度、試行的な取り組みとして姫路市立太市幼稚園・保育所を統合し新たにスタートする予定と聞いております。
 このように保育環境が大きく変わろうとする中、今まさに幼稚園・保育所のあり方が問われています。
 本市において市立幼稚園については、長年、1年保育とはいえ就学前教育に十分配慮した一小学校区一市立幼稚園の手厚い取り組みが実施されてまいりました。しかし、平成9年度の姫路市教育問題懇話会報告書、平成12年度、姫路市幼稚園教育振興計画、平成15年度、包括外部監査の結果報告書等によって、就園児童数の減少等による市立幼稚園の非効率な運営を問題として指摘されました。そして私も委員として参加させていただいた姫路市幼稚園教育振興計画実施方針検討会議におきましては、将来の姫路のよき幼稚園教育のあり方を話し合う場というものではなく、現在の市立幼稚園の非効率な運営の再確認と適正配置という言葉のもとに統廃合を実施し、具体的にどこまで減らすことが可能かといった議論に終始したことに、当時、市立幼稚園へ子供を通わせる保護者として驚きと怒りを覚えたことを記憶しております。
 しかし、それは、保育ニーズの高まる中で、課題として認識しながら、大きくは昭和63年より実施しております保育時間の1時間半延長以外、何ら手だてを打たず、保護者や現場職員からのさまざまな改善要望には、ほとんど耳を傾けずに来た結果ではないでしょうか。そして検討会議においては、意見を述べようとも、委員の構成から結果として報告書には全く反映されず、既にまとめられた姫路市幼稚園教育振興計画に沿った教育委員会の方針どおり会議が進行したことを考えると、私は、たまたま委員として、この件について話し合う場に居合わせましたが、姫路市のホームページを開くなど、特別関心がある方ならまだしも、一市民の立場では計画の進行をなかなか知るすべがなかったであろうことを考えると怖いとさえ感じました。
 現に私が伺った複数の自治会長、連合自治会長におかれましても、この計画の内容については承知しておられませんでした。
 計画では2年から3年続けて園児数が20人程度となった幼稚園は翌年度から休廃園の措置をとるとの方針によって、数年前より順次実施され、現在69園中5園が休園となっています。
 また、石見市長の公約でもある市立幼稚園全園での2年保育実施についても、地元園の早期実施を多くの保護者が期待しておりましたが、その実施については、教育委員会が予定しているであろう数値まで統廃合が進むことが前提であるようです。
 そして、その手法は、試行的との表現と隣接園のサービスを上げることで保護者の関心を引きつけ、サービスを据え置かれた園では園児数減少の数字を突きつけられることで「統廃合やむなし」の雰囲気を地元地域に植えつけるやり方であります。
 例えば安室中学校区内の2園、安室・安室東幼稚園のうち試行的として安室東幼稚園にのみ2年保育、35人定員の4歳児保育を導入しております。そして4歳児募集を中学校区に広げ、入園の条件として5歳児になっても引き続き通園する旨の確約を取ることで安室小学校区の園児を確保し、次年度、安室幼稚園へ入園するであろう園児が減少することを期待するかのような取り組みが実施されているのは問題です。これは試行的ではなく事実、安室幼稚園を廃園へ追い込むための取り組みではないのか。また4歳児の入園希望者が定員の35人を超えた場合、抽せんを実施することで両幼稚園の保護者間に大きな心の溝を生じていることについて、どう考えているのか。このような取り組みが市内各地で実施されています。
 また仮に統廃合の結果、存続できた園についても、もろ手を挙げて喜べるものではありません。「定員の設定」、「通園区域の自由化」によって、入園を希望しても確実に身近な地元市立幼稚園に入園できないケースが出てきます。そして、これまで5歳児について、入園希望者はすべて受け入れることを基本としてきましたが、その保障もありません。このような取り組みが進めば公立離れを加速させる要因になってしまいます。
 「2年保育の全園実施」といった耳ざわりのよいことだけを前面に出し、その背後にある、これらの厳しい条件の内容について行政の説明責任を全く果たさず、計画が全市において着々と進められているのは問題です。
 また、はっきりと具体的な将来像を示さないことが、保護者や現場の職員の不安をあおる原因になっているのも事実です。少なからず子供たちへの影響があることを考えると問題です。
 国において就学前教育の重要性が認識され、幼小一貫校や無償化が検討されていると聞きます。財政厳しい折ではございますが、小1問題・学級崩壊が課題となる中、今だからこそ、公教育の立場で、これまで市立幼稚園が身近な就学前教育の場として地域で親しまれ果たしてきた役割を再評価し、今後の本市の取り組みが画一的なものではなく、旧姫路市を初め夢前・香寺・安富・家島町のそれぞれの地域性にも十分配慮することを熱望します。
 ある保護者の方が言われました。「子供と毎日、触れ合いながら歩いてでも通える。そんな身近な市立幼稚園だから、いいんです。」と。
 以上の内容を踏まえ以下5点について質問いたします。
 1.一小学校区一市立幼稚園のよい点と果たしてきた役割について。2.市立幼稚園の統廃合が地元地域に与える影響について。3.これまで計画が進行しているにもかかわらず地元説明・保護者説明が全くなく、行政の説明責任を果たしていないのはなぜか。また手法に問題はないのか。4.今後の姫路市幼稚園教育振興計画実施のタイムスケジュールについて。5.近い将来、「認定こども園」の公設民営化を考えているのか。本市のお考えをお聞かせください。
 第2項目めは、認可・認可外保育所の運営についてであります。
 保育所については、近年の女性の社会進出などを背景に保育需要が増加しています。本市においても現在、市立保育所34カ所、私立認可保育園52カ所、プラス分園10カ所、認可外保育園に至っては届け出があるものが66カ所、うち病院・事業所内12カ所で、届け出のないものを含めると、どれだけ運営されているのか把握できていません。
 これら多くの施設のある中で保育需要が増加しているとはいえ、少子化の中、特に私立においては高い児童福祉の理念のもと、特色ある園運営の取り組みが結果として保育サービスの競争を激化させているのも事実です。また課題である待機児童の解消対策として、国も認める定員増や定員弾力化を実施している施設もあります。
 しかし、机上の論理、大人の理屈で数字をさわることが、保育環境を悪化させ子供たちへの影響や現場の職員への負担にはなっていないでしょうか。
 市立保育所については、市立幼稚園と同様、平成15年度、包括外部監査の結果報告書によって非効率な運営を問題として指摘されています。また全国各地では、自治体の財政難を背景にコスト削減を最大の目的として公立保育所の民営化が加速している現状があります。
 しかし、神戸市など、行政の説明不足と強引な手法によって保護者とのトラブルも増加し、訴訟に発展したケースもあるようです。
 このような中ではございますが、本市においては、建物の老朽化や施設の設備不足等に伴い、市立・私立ともに必要に応じて建てかえを順次実施しています。最近では市立高岡保育所・四郷和光保育所が増改築され、また引き続き花田保育所と高木保育所が合併し新たにスタートする計画と聞いております。
 特に高岡保育所の増改築につきましては、約40年前、まだまだ地域の保育環境が整っていない状況の中で、地元上手野の皆様方の熱い思いと、当時、吉田市長の英断をもって実現できた歴史を持っております施設だけに、私もお世話になった一人として思いもひとしおです。
 一方で、老朽化や設備の不備がありながらいまだに手つかずの施設があるのも事実です。その中で児童への安全な給食の提供の考え方から、国の指導では業務の委託は認めてはいるものの、あくまでも自園調理とされていますが、一部実施できていない施設があるようです。保育環境の充実のため公の福祉の立場で適切な運営を期待します。
 以上の内容を踏まえ以下の3点について質問いたします。
 1.市立城陽保育所を初め、いまだに児童への安全な給食の提供の観点から国の定める完全自園調理の条件を満たしていない施設があると聞きますが、何カ所あるのか。その件について保護者説明は十分なされているのか。また改善計画はあるのか。2.保育所の定員は何を基準に設定されているのか。また遵守されているのか。3.近い将来、市立保育所の公設民営化を考えているのか。本市のお考えをお聞かせください。
 第3項目は、姫路の特色ある教育システムの構築についてであります。
 私は中学1年生を筆頭に小学5年生、2年生の3人の子を持つ父親です。ですから、政府が最重要課題として取り上げております「教育再生」に非常に関心があります。今、本市の学校現場においても学力の二極化、学校間格差、いじめ、不登校、学校内・登下校時の安全対策等、さまざまな課題を抱えている現状があります。その背景には、教師の指導力不足だけではなく、生徒や親のモラルの低下も学校運営に大きく影響しているように思えます。
 子供の学校内・登下校時の安全対策については、近年さまざまな子供に対する事件の増加に対応し、保護者や地域の方々がご協力、ご負担いただいておりますスクールヘルパーの活動に頼るところが大きいと思われます。
 しかし、下校時に関して、低学年と高学年の下校時間に1時間から2時間の差が生じていることが、本当に安全なのか。事件・事故が起きると必ず「集団下校」を実施しますが、何か起きてからでは遅いわけであります。下校時間全体の短縮の工夫が必要であると考えます。
 また、私は20年近く地元地域の子供たちの基礎学力の定着にかかわってきました。最近ふと感じることに、最近の子供たちは「自分の将来の夢」、または「目標」をしっかりと持っているのか。何となく一日が暮れる毎日を過ごしてないかと思うことがあります。
 以前、テレビの放送の中で、ネパールの貧困家庭を取り上げていた番組がありました。家計を支えるために子供も仕事に駆り出される。その置かれた環境の中では、生きていくためには仕方がないことですが、そんな中でも親は「何とか子供に教育を受けさせたい」、子供も「学校へ行って勉強がしたい」と願っていました。
 また、ある番組では、空爆で廃墟になってしまったアフガニスタンの、とある町での子供達の様子を取り上げていました。子供たちへ「将来の夢は」との問いかけに、口々に、「私の体を治してくれたお医者さんのようになりたい」、「学校の先生になりたい」との答えが返ってくるのを見て非常に感動したことを覚えています。十分に勉強のできる環境ではないにもかかわらず、その子供たちの「勉強がしたい」という純粋な気持ちとキラキラした目が印象的でした。現在の日本人が忘れてしまった心がそこにあるのかもしれません。
 日本ではさまざまな理由があるにせよ、「学校へ行ける」、「勉強ができる」恵まれた環境がありながら、「不登校」の問題を抱えています。
 以前より中学校の卒業式へ出席させていただいておりますが、名前を呼ばれても、クラスに3人、4人と卒業式にさえ出席できない子供たちがいます。残念で仕方がありません。「不登校」から「ひきこもり」へと長期化するケースも珍しくありません。また世間体を気にする余り、相談できる相手もなく保護者自身が精神的に限界に来ているケースも少なくないはずです。もう一歩踏み込んだ公の取り組みが必要ではないでしょうか。
 そんな中、先日発表された政府の教育再生会議の第二次報告書の内容については、保護者の立場から幾つか気になる提言があります。例えば、ゆとり教育見直しの具体策として授業時間数の10%増とあります。教育委員会、学校の裁量で必要に応じ土曜日の授業を行える。私の世代は、昼まで土曜日に授業がありましたから、以前より「ゆとり教育」による学校5日制には疑問を感じていました。
 本当の「ゆとり教育」とは、じっくり時間をかけて学ぶことだと思います。「総合学習」導入によって、本来の教科の学習時間が削られるのは本末転倒です。本当に生きる力とは、学力をしっかり身につけ将来の選択肢を広げることであると思います。しかし、小学校において分数や少数でつまずいたまま理解できず中学校へ進学してしまう生徒がいます。残酷です。そんな生徒は中学校の数学で苦しまなければなりません。小学校で何とか対応ができなかったのか残念です。
 課題とされる学力の二極化は、本人のやる気以外に、授業時間の減った部分を塾等で補える子供と、そうでない子供、塾に通える経済的に余裕のある家庭の子供と、そうでない家庭の子供といった格差社会の問題を反映している部分もあるのかもしれません。
 教師個人の取り組みだけに頼るのではなく、しっかりと小中学校の連携強化の実施と、義務教育における最低限度の内容について習得できるシステムづくりが必要と考えます。
 そして、もう1点「すべての子供たちに高い規範意識を身につけさせる」とあるのも大切なことであると思います。「道徳教育」の重要性、すべてはそこから始まるのかもしれません。つけ加えて言うなら、「教師」と「生徒」、「教える者」と「教えられる者」の関係、また「親」と「子」の関係など、もう一度考え直す必要があるのではないでしょうか。
 また、学校現場においては、教師にもっと指導上の権限を持たすべきだと考えます。生徒や保護者に必要以上に気を使う姿を見ると不自然でなりません。この点について、規範意識を身につけさせる場の一つとしてクラブ活動の存在が重要であると思います。しかし、近年、教師のボランティア精神に支えられて成り立ってきたクラブ活動も、各学校で指導者不足の課題を抱えているようです。
 運動部において、例えば剣道などは専門性が高く深刻です。本市では、これへの対策として外部指導者の受け入れをされているようですが、どのような基準で採用されているのでしょうか。熱心さのあまり生徒とトラブルになったケースも耳にします。教師のようにふだんの生徒とのかかわりあいがない分、指導する側も難しいのかもしれません。
 そして、もう1点、「学校選択制」いわゆる「教育バウチャー制」の導入が提言されています。教育バウチャーとは、各学校が特色を出し学校間の競争を促すことができる。また保護者・生徒が進学する学校をみずから選ぶことができ、結果として生徒が多く集まった学校については、それなりの予算配分を行うということだそうですが、何となく耳ざわりがよい内容だけが前面に出ているような気がします。
 既に岡山市では平成17年度より、子供の個性や適性に応じた学校選択制を可能とするとともに、特色ある学校づくりや学校の活性化を一層図るために通学区域の弾力化を実施しています。
 また、加古川市では、今年度より区域外就学として、指定された中学校に希望する部活動がないことを条件に近隣の学校への進学を認める取り組みがスタートしています。しかし、学校選択制導入は地域づくりにも大きく影響し、将来、小中学校の統廃合に拍車をかける恐れもあると考えます。東京のような都会でならまだしも、本市の実情にはなじまないと考えます。今、本市においては小中一貫教育導入等、魅力ある姫路の教育創造プログラム策定会議によって議論がスタートいたしました。姫路の子供たちがしっかり学び育つことのできる姫路の特色ある教育システムの構築を期待し、以上の内容を踏まえ以下6点について質問いたします。
 1.基礎学力の保障と土曜日の居場所づくりのため土曜日の授業を復活するべきと考えますがどうか。また補習授業はできないか。2.本市において不登校生徒・家庭に対する取り組みは十分か。3.中学校におけるクラブ活動の外部指導者について適切に運用されているのか。課題はないか。4.小学校において、常時集団下校の実施はできないか。5.子供の課題を共有するため小中学校の人事交流を活発に実施できないか。6.学校選択制導入の考えはあるのか。本市のお考えをお聞かせください。
 最後に第4項目としまして、4月の統一地方選挙についてであります。
 4月の統一地方選挙において、姫路市長選は無投票に終わり、石見市長が再選されました。姫路市議会議員選挙におきましては、長澤選挙管理委員会委員長の「最近になく激しく大変厳しい選挙でした」との選挙評がありましたが、その一方で投票率は、前回が過去最低の58.05%だったのに対し、このたびは、それをさらに下回る旧姫路市51.64%の低投票率に終わりました。半数近い有権者が投票所にすら足を運ばない。政治離れは健全な民主主義の状態とは言えないと思います。
 前回は故堀川前市長と石見市長との一騎打ちといった姫路市を二分する激しい市長選がありましたが、このたびは無投票であったことが大きく影響しているのかもしれません。前回を上回る多数の新人を含む51人の市議会議員候補者も、投票率を上げる要因にはなり得ませんでした。
 また、私は投票所のイメージとして小学校の体育館が頭に浮かびます。今まで余り意識をしていませんでしたが、校区によっては公民館であったり保育所であったりさまざまなようです。地理的、人口密度を考えると投票率アップのためにも、選挙事務経費は増すでしょうが、複数配置されてもよい校区もあるように思われます。
 そして私は、このたび、勉強の意味も込めて、初めて期日前投票に行かせていただきました。投票所へ行くまで全くシステムを知りませんでしたが、名前、住所、生年月日を記述する程度の、あまりに簡単な手順で投票できたことに驚きと不安を覚えました。
 不在者・期日前投票方法の改善が必要ではないでしょうか。
 以上の内容を踏まえ、以下3点について質問いたします。
 1.無投票再選の市長選の感想と市議会議員選挙の過去最低投票率について問題点は。2.現在の投票所の配置は適正なのか。見直しはないのか。3.不在者・期日前投票の本人確認の徹底について、本市のお考えをお聞かせください。
 以上で第1問目を終了させていただきます。ありがとうございました。